5-4、DIRTY 3(スターシステム・時の旅人)

「DIRTY3」について語ろう。
 
無明世界観を理解する上で欠かせない要素がこのMつ流スターシステムの要とも言える「DIRTY3」だ。
Mつ先生の主な著作に必ず出てきては縦関係を十全に利用し不衛生な手段を使って登場人物の心を清々しい程にまでに破壊していく・・・
 
そんな彼らは常にスリーマンセルで行動する。
それゆえにDIRTY3と呼称される。
 
あすなろに10円を対価としてストリップをさせる不良3人組、桜高に入学した中尾の前に突如現れる中学時代の先輩3人組、野口に食糞文化を教える村の悪ガキ3人組、中国系移民のクリーニング屋を性的捌け口にするカウボーイ3人組、貧乏な浪人に因縁を付け切り捨てる土佐藩上士3人組、上杉に異食倒錯の素晴らしさを伝える大学の先輩3人組ー
 
いずれ劣らぬ陰惨かつ不浄の輩達である。
 
彼らは大抵が「3」高者の出自であり、前述した被虐「3」原則を読者に説明する為に根性人形達を切り裂く終末の「3」騎士と言ってもいい。「333」、スリースリーは獣の数字ならぬMつの数字と言えるだろう。
 
それが高校野球であれ時代劇であれ偉人伝であれ常に3人で現れ寸分違わぬ加虐のステップを踏む彼らは、実の所、Mつ邪神によって無明法則に囚われた時の旅人である。
 
最初に現れた高校野球世界において、DIRTY3こと中尾の先輩達はこう発言した。
 
「よう、また会えて光栄だぜ」
 
この発言自体は桜高野球部に対して再会を祝したセリフのようで、不自然なものではないと思う事だろう。
 
だが、勿論これはMつ邪神によるミスディレクションである。
 
実際は無明宇宙内に囚われ、平行世界に転生を繰り返しては望まない虐待を強制された3人組達が、恐らくは幕末世界もしくは大学野球世界辺りから高校野球世界への時間逆行を行い、また記憶の確保にも成功した為、数多の平行無明世界を既に踏破した我々読者に対しSOSを送っていると考えるのが妥当だろう。
 
「よう(読者の皆)、また(このクソッタレの無明世界で)会えて光栄だぜ」
 
と言う訳なのである。
 
もうお判りだろう。
彼らDIRTY3は平行世界の同一存在なのである。
 
偉人伝世界においてカウボーイ3人組が現れた時点で、同時存在が許されなかった野口の村の3人組は恐らく偉人伝世界のアカシックレコードから消失していた筈だ。
 
高校野球世界における小出ら不良3人組も、中尾の先輩3人組の時間逆行成功に伴う平行世界での記憶保持が行われ公式にこの宇宙での存在が固定された瞬間に、恐らく同じ結末を歩んだ事だろう。
 
元々の彼らは歪んでしまった神の原風景だったのかもしれない。
作者が内なるキャンバスに描かれたそのどす黒いイドを汲み取り、筆により発現させた結果、永遠の囚われ人となってしまった訳なのである。
 
作風として自分の身に起こった物事をそのまま筆に載せる先生の事だから、もしかしなくても、この3人組は先生の少年時代に実際に現れた災厄の象徴の様なものなのだろう。
 
 先生のそれからの人生の中に現れたあらゆる3高者達は、色々な意味合いで、常に「彼ら」だったのかもしれない。