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また気づくと棚に自己啓発本が増えている。
何を変えようっていうんだ?と自分に聞いても、ブツブツと沈黙しか返ってこない。
既に固まっている自分の考えを作家に裏付けてもらいたくて近い雰囲気のタイトルを買う、それ以上のものではない筈だ。
枕に刺繍したくなる様な事が書いてある訳じゃないし、何よりあれには行間に冒険の余白がない。
本当は脳で行間を埋められるものが好きだ。
想像の余地、読み取るべき背景、冒険の可能性。
想像力が経年劣化してくると、行間を埋める質量共に減る。
その挑戦をしない読書は確認作業でしかない。
読書本来の醍醐味は考える事、脳がブラックボックスを開ける過程の中に、いつでも在った筈なのに。
お前はその楽しみを何に変えたっていうんだ?
代償に見合う価値のあるものか?
(沈黙)
いや、見合うものなんかないよ。
そんなにはね。
とは言えまだ読書はそれなりに楽しめているんだ。
自己啓発はもういいや。