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本を読む時は電車が多い。
家には気が散るものが多すぎるし、それ以外の場所だと1人になる機会はなかなか無い。
見知らぬ無数の同乗者は鉄製の火薬樽としか思えないので、電車空間は高確率で1人になれる場所だ。
布団の中と似ている。
だから皆よく寝ている。
相互監視の、全方位ガラス張りの寝室。
誰かが騒いでいても、それは窓の外の騒音だ。
武器を持って侵入してこない限りは、各々のカリスマに従えばいい。
本を読んでいると、ある一線から内容が頭に入ってくる速度が落ちる。
それが中断の頃合いなので、また別の事をする。
寝てもいい。
携帯を弄ってもいい。
外の景色を観てもいい。
それに飽きたら、また別の選択を使えばいい。
集中は後天的な機能だ。
分散こそ本来に根ざした機能だろう。